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2016年8月号 | 創明館便り

「自由研究が親の負担になっている」そんな話をある塾の先生から聞いた。
驚いた。自由研究のテーマの決定、更にはその研究制作までをも親が手伝っていたりするようである。
「自由研究に費やすわが子の負担を減らしたい」
「わが子の成績、評価が下がらないように」などという親心だけでなく、
「親の協力を求める学校」もあるようである。
諸事情あっての事なのであろう。
でもこれは明らかに、未来を生きる子供たちに、
学習の大きな目的である「自分で考える力」を培っていくうえでマイナスであるように思う。

「自由に考えてよい」ということに誰しも戸惑う。
私も夏休みの後半になってもテーマが決まらず頭の片隅に居続ける「自由研究」には悩まされた。
ワーク的な宿題は時間をかければこなすことができる。
「自由研究」となるとテーマ、構想を練るのに見通しの立たない不安とともに
格闘しながらの日々を送る必要が出てくる。
当然のように最後まで残り続けるのが「自由研究」であった。
面倒で逃避したくても避けることができない、1つの事を何日も考え続ける日々、
けっして楽な事ではなかった。
でもこれがきわめて大切な事であったと振り返る。

自由研究の目的って何だろう?
自由に子供たちが考えるその自由研究の研究作品なり研究レポートの、
その優劣を判断することに自由研究の目的なんてない、と私は考える。
「自由に考えることの難しさ」を認識させ、
それを得た時の喜びを知らしめるのが「自由研究」の最大の目的であるはずである。
夏休みの長い期間を使って、じっくりと考え込ませる経験をさせることの、
その大きな意義を認識すべきなのであろう。

 発想豊かな幼児、低学年の子供たちが「学齢が上がるにつれて発想力がなくなっていく」
この現象を周りの社会、大人たちが助長している事実は否定できない。
この夏休み、「人工知能に対抗できる脳の育成のために必要な事」、
そんなことをじっくり考える、そんな「自由研究」はいかがなものかと提案する。

創明館便り
この記事を書いた人
創明館 吉田

塾代表 吉田聡彦 : 練馬区高松(光が丘・夏の雲公園前)にある小学生・中学生・高校生向けのグループ/個人の学習塾を運営しています。
塾運営での想い、感じたこと、発信したいことなどを更新しています。

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