大学時代、家庭教師経験をした。
派遣会社などというものに登録したわけでなく、
大学の後輩からの紹介だった。
教え子は、都立航空高専(現 産業技術高専)に在学していた彼だった。
何を教えたのかは、まったく覚えてなくて、
ただ彼の家で、彼の知り合いの大学生と話した時の思いは覚えている。
20代前半、自分の生き方を考え直すきっかけとなった大きなできごとだった。
「技術」といった、実利系の勉強にのみ傾注しすぎていたのではないか、……。
「本を読もう」「文科系の勉強がしたい」、そんなことを思った。
ICT(情報通信技術)が不可欠な世界になり、
社会のニーズに合わせて、関連学部の進学希望者が多くなっている。
ICT関連人材が日本では大きく不足している、そんなことも社会で認識され、
政府機関も大学等の教育機関も人材育成に力を注いでいる。
「ICT技術を身につけろ」と、言わんばかりだ。
そんな世の中で、産技高専在学中のM君の学習サポートをしながら、
「AI全盛の時代が来たとき、
こんな大変な積分計算を未来の高専学生も学ぶのだろうか?」とふと思ったりした。
でも、解けた時に得られる「満足感、喜び」を知っている人間は、
それを伝え続けるはずだとも思った。
技術はAIが優位に立つのは間違いない。
でも、人の喜びは別に存在し続けるものであることに間違いない。
2026年2月号 | 創明館便り
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