今年は、蝋梅(ろうばい)の枝に、いつもより多くの花がつき、
ちょっと圧巻の見事さだった。
剪定されたその枝の一本を部屋の花瓶に挿した。
そこでの発見である。
花弁を一枚、二枚と落とすのでなく、
花の塊として蝋梅の花は落下する。
風に飛ばされずにその花は、その空間にあった姿を、
畳の上という平面にその存在を真下に移した。
枝に付いていた時の花の存在場所を平面に投影した感じだ。
その平面に描かれた図柄がとても面白い。
咲いている時のみ注目していた花だが、
落下ののち注目される花の姿、という発見を得た。
枝付きのとき以上の注目を浴びている花のように思った。
『花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは…(徒然草)』を
何となく思いうかべた。
人々の発信のはびこる現代社会。
不要な情報の多いこの社会の中で、
言葉をもたない自然界からの
こんな素敵な発信もあるんだ、と思った。
2025年2月号 | 創明館便り
