尾瀬の季節がやってきた。
「夏が来~れば思い出す~、はるかな尾瀬~♬」
で有名な尾瀬は「夏」のイメージ。
とはいえ、尾瀬ヶ原を挟む至仏山、燧ケ岳の両山が残雪と山肌のコントラストで浮かぶ、
今の時期に私は訪れる。
尾瀬の代名詞、水芭蕉の花もまだまだ流れる川の水面の下。
早朝、木道を歩くハイカーもいたって少なく
思いっきり尾瀬の大自然を堪能できるこの季節が好きだ。
山に登り始めた人に「お勧めの場所は?」と尋ねられれば、
「尾瀬」といつも答える。
2座の百名山を抱えつつ、沼あり、大湿原あり、丘陵地ありで
ハイキングも楽しめるとても素晴らしい場所だ。
この時期、尾瀬を訪れる人の多くは、
至仏山登山を楽しんでいるように感じる。
至仏の急斜面を簡易そりで下る楽しみもあるようだ。
尾瀬ヶ原の水芭蕉はまだだし、
それなりの装備を持たないとハイキングもできない。
だから、早朝ならハイカーが極めて少なく、
湿原をまさに独り占めできたりする。
湿原からの光景を眼裏に収め、日常浮かぶように目に焼き付ける、
そんな意識で木道歩きを楽しむ。
昨年は至仏山に登り、今年は、尾瀬ヶ原周回コースを選択した。
今年は、残雪が多かった。
「湿原」ならぬ「雪原」だった。
木道は雪の下、踏み跡なく、
雪解け水の流れるせせらぎの上とはわからず、足を踏み入れ、ズボリ。
雪面は胸の高さ。
新たなことを一つ学んだ。
「せせらぎ上の空洞の上に残る積雪は色が異なる」ということ。
「経験で学ぶ」「体験で学ぶ」
この学びの強さ、大きさは「机上で学ぶ」ことでは得られない、
必要で大切なことのように思う。
いろんなことをいっぱい経験し、体験し、
その蓄積が人を育てることは間違いない。
来年は、目指していたコース周回を成し遂げたい。
新たな目標ができた。
2025年5月号 | 創明館便り
