12月、「冬」と呼んでさしつかえない時がやってきた。
「冬は好きですか、嫌いですか?」と問えば、さてどんな返事が返ってくるのでしょう。
「好き派と嫌い派」きっとやっぱり寒さは嫌だと「嫌い派」が多いのだろうかと想像する。
私はというとこれからの3か月は好きな季節だ。
好きなことを生業としていられる自分にとって、ここからの俗に言われる「受験シーズン」は、
その仕事の充実度においてとても満たされる季節だ。
授業をしていて一番満たされる瞬間、それは生徒たちの強い意欲を感じられるとき。
受験追い込みのこの時期の受験生たちの真剣な表情にこちらの思いも高まっていく。
さて、自分の高校受験を振り返ってみる。
「塾」という存在が非常に稀有であった当時の私の住んでいた町の環境。
「勉強しなさい」とは一度も言う事なかった両親の下で、
当然のごとく「受験勉強」は自分で考え計画し、自分で行うものであった。
私の育った愛知県では当時、中3生全員が受験する「中部統一テスト(通称 中統)」と呼ばれているテストがあった。
全受験生が志望校を明らかにしての受験で、高校別の志望者の得点分布が配られたこともあって,
得点分布と志望者数からかなりの確率での合否予測が可能であった。
私は自分の受験する高校の志望者の中でのその順位と募集定員から、受験への不安は抱かなかった。
必ず合格すると思っていた。
担任の先生は、滑り止めの私立高校の受験を強く勧めたが、
行くつもりのない高校を受験することは全く考えられなかった。
落ちるはずがないと思っていたから、先生にも「受けません」と答えるだけだった。
両親も私の考えを認めてくれていた。
自分を信じてもらえている安心感で落ち着いて勉強できていた。
「中統」を受けてその結果から自分に必要な勉強を感じた。
それは「数学の図形問題」だった。
学校のテスト等では問われない入試問題の難しさに、私は勉強の必要性を感じた。
何を行おうか、できることは本屋に行って、問題集を買うことだった。
自転車をとばして本屋に行き、自分で選んで購入した。
受験まで期間も短くなっていたから、薄い図形問題ばかり出ている本を選んだ。
高校への受験勉強で一番記憶に残っているできごとはこのことである。
受験生にとって記憶に残るであろうこれからの受験追い込みの時期。
私にとっての高校受験で一番記憶に残っているできごとが
「自転車に乗って本屋に行ったこと、問題集を選んだこと」である。
「勉強していた自分」というのは思い出に残っていない。
それだけ自分にとって「本屋に行くこと」が大切な節目だったという事だ。
記憶に残る受験シーズン、いよいよシーズン到来だ。