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2024年3月号 | 創明館便り

小学生だった時の宿題で、「昔の暮らしを調べる」というのが出された。
唯一存命だった母方の祖父に話を聞いた。
母の実家で叔父たちと暮らしていた明治生まれの祖父は、
孫たちにとって大変怖くて、
でっかい虫眼鏡で新聞を読んでいる姿が一番の印象だった。
孫たちと会話したり、その来訪を喜ぶ姿を全く見せることはなかった。
「祖父を避けながら」というのが姉弟、いとこたちとの遊びだった。
遊んでいて祖父が大切にしていた盆栽棚にぶつかり、
それを壊し、怒られたこと、それが忘れられない思い出だ。
そんな祖父だから、母同伴でとても緊張しながら、
昔の話を聞かせてもらい、記録した。
ところが、である。
私の質問に答えるときの祖父のあまりにも意外な、
うれしそうに答えてくれる様子が今でも忘れられない。
私は笑う余裕など全くなかったが、
こわいおじいちゃんの笑みをたたえた顔を初めて見た。
戸惑うしかない私だった。
「じいじ」などといった優しい言葉がいつからか聞かれるようになった。
じいじ、じじいその違いは、さてさて? 
名実ともに「じじい、じいじ」として生き存在する自分が思うのは、
改めて、時代ってあるんだなっていうこと。
怖かった祖父も今の時代では、「じいじ」と呼ばれて、
孫と遊んでいたのかもと思ったりする。
「時代に育つ」「時代が育てる」、
人間はその生活だけでなく、その心までも、
社会の中で、創造されていく存在だと再認識する。

創明館便り
この記事を書いた人
創明館 吉田

塾代表 吉田聡彦 : 練馬区高松(光が丘・夏の雲公園前)にある小学生・中学生・高校生向けのグループ/個人の学習塾を運営しています。
塾運営での想い、感じたこと、発信したいことなどを更新しています。

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