ずいぶんと昔の幼いころに見た、聴いた「紙芝居」。
自転車に乗ったおじさんが即席で自転車の荷台に舞台(?)を作り上げ、
一枚一枚の絵に合わせたお話のその口上の世界を楽しんだものだった。
次はどんな絵が現れるのかドキドキ、ワクワクの世界だった。
そんな路地で見た紙芝居もテレビの普及とともにだったのか、
いつしか見ることもなくなった。
紙芝居がなくなってそれを残念に思うことなく、
テレビの画面に夢中になった。
そんな幼少期だった。
絵本を読み聞かせてもらっても同じで、
耳から聞くお話でその様子場面を子供は想像する。
ワクワクしながら次のページの絵を心待ちにする。
この「想像」という働きが脳を非常に活動させているとのことである。
「想像力を働かせるときに脳が活発に活動している」ということを考えると、
後に夢中になったテレビのアニメよりも、
紙芝居の方が脳は活動していたのだろう。
流れる映像に想像力の働く余地は少ない。
その分、脳は活動が低くなっていると考えるのが自然だ。
絵本の読み聞かせで育った想像力が、自らスマホを操作し、
動画に夢中になるという現世の幼児には得られにくくなっているのだろう。
俳句、川柳といった日本の伝統文化は、
わずか「五七五(ごしちご)」の17音のみの情報で
詠み手の思いを想像するものだ。
詠み手の思いを読む人が自由に想像する、
この自由に想像できるのが面白い。
伝統文化として日本人に長く親しまれてきたのは、
日本人の気質に向いているからなのだろう。
物語の複数の人物を一人で演じ分け、
画像も映像もなく、聞き手の想像力に働きかけ、
笑いをとる「落語」。
この伝統文化も脳の活動を盛んにし、
活性化させていることは、想像に難くない。