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2008年7月号 | 創明館便り

6年前の便りに、「親にできること(塩野谷斉先生講演録より)」と題して、
『思春期の子を持つ親へのメッセージ』と題された塩野谷斉先生の講演会録からその引用を掲載しました。
今号で再度紹介させていただきます。

「子供の心の問題に悩む大人は、大変多くなっているわけです。
そういう中で、子供の心を知りたいということで、心理学の勉強をしたりします。
……けれども、結局親はカウンセラーにはなれないし、なってはいけないということを申し上げたいと思います。
どういうことかというと、親というのは子供と生活を共にしているわけです、基本的に。
だから親はもともと冷静な第三者ではあり得ないわけです。
もし生活を共にしている親が冷静な第三者であったら、それは子供にとってとっても冷たい親なわけです。

……親はあまりにも冷静なカウンセラーであってはいけない。
逆にカウンセラーは冷静でなければいけないんです。……

カウンセラーというのは利害関係のない第三者だからこそ、
クライアントはカウンセラーに対して素直に話せるわけです。
関係のない人だからこそ言えるわけです。子供だってそうです。
親に対して「何でも話してご覧」というような親がいたとして、何でも話せるかって、そんなことないです。
『これを言ってしまったらお母さんは傷つくな』とか『お父さんの期待に反することになるな』とか思うわけです。
だから言えないんです。関係が近いと言えないわけです。

……親は自分の子供の前で常に冷静でなければならないということはない。
時には取り乱してもいいと思います。その方が、親が本気で子供を心配しているという姿勢が子供に伝わりますし、
それだけ子供も救われるわけですから。

……親はカウウセラーとは違うのですから、自分の子供に対して、自分自身のことについて話してもいいと思うんです。

……親はカウンセラーではない。もっと身近な存在です。
親はもっと身近な、子供にとっての将来のモデルなわけです。
時代は違うけど、親にも子供時代があったわけです。
親も子供時代に、自分なりの思春期、青年期があって、悩みがあったわけです。
時代が違うからだいぶ今の子供の感覚とはずれているかも知れないけれども、
思春期らしい悩みを思い出せる親は多いはずなんです。
素直に自分の経験を語ることが、子供にとってのひとつのヒントになることもあるわけです。……」

 当時私は、思春期の子をもつ親として、貴重な話に触れることができたと思いました。          (吉田)

創明館便り
この記事を書いた人
創明館 吉田

塾代表 吉田聡彦 : 練馬区高松(光が丘・夏の雲公園前)にある小学生・中学生・高校生向けのグループ/個人の学習塾を運営しています。
塾運営での想い、感じたこと、発信したいことなどを更新しています。

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