「チリーンて、する」と、女子生徒は言いました。おりんを鳴らすことを表現してくれました。
これはこの女子生徒の朝、学校に行く前の日常です。
御先祖を敬う気持ちが、中学生の彼女の中に身についていることに感動しました。
私のように、故郷を離れ、お墓も仏壇も日常とは離れた生活をしている人間が、中学生から学んだできごとでした。
私たちの命はいつから始まっているのでしょうか?
「生まれた時から」と考えるのが普通です。
でも、少し考えを深めます。
お父さんとお母さんの出会いがなければ自分という命は存在していません。
両親の出会いがあなたという命を誕生させました。
ですからあなたの命はあなたの両親の命があってこその命だということは理解できます。
さらに、あなたの両親の命はあなたのおじいちゃんおばあちゃんの命があってこその命です。
さらにそのあなたのおじいちゃん、おばあちゃんの命はあなたのひいおじいちゃん、
ひいおばあちゃんの命があってこその命です。
これは過去何代にも考えていくことができることです。
「両親」「祖父母」「曽祖父母」と考えましたが、過去3代あなたの命に関係している命は、2+4+8=14人となります。
さらに過去に10代さかのぼりますと、2+4+8+16+32+64+128+……+1024=2046人となります。
10代前となりますと、親子の年齢の差がすべて25歳と仮定しておよそ250年前で、日本では江戸時代の事です。
過去10代だけさかのぼっても、2046人もの命があってこそ、あなたの命があなたとして存在しているわけです。
2046人の内1人でも別の命と入れ替わっていたら、
今のあなたという命は別の命になっていると考えられるように思いますがどう思いますか。
こんなことを考えていくと、
「今の自分が今の自分として存在しているのは、大変多くの出会いの結果だ」と考えることができると思います。
そして、そこには唯一たった一人だけの「自分」という存在の意義も、価値も感じることができます。
およそ20万年前に人類は誕生したと言われています。
今までに世に生を受けた人の数は大変大きな数になることは想像できます。
そのすべての人が、「唯一の命」であること、こんなことを考えると「命」を考えるきっかけになります。