2015年5月号 | 創明館便り

恒例の全国学力テストが4月実施された。
小学、中学の最高学年生を対象とする、文科省主催の全国的学力調査である。
子供たちの学力低下が懸念され、2007年に再開された全国的な学力テストである。
昨今はその結果が、各都道府県、市区町村、更には各学校間のそのテストの平均点を競う状況につながり、
その弊害も問題視されるようになってきた。
今年度は特に、大阪府がテスト結果を高校入試での選抜資料に使用することを表明したこともあって、
学力テストの目的とその意義についての物議をもかもしている。

 テスト結果を公表すれば当然競争は生まれる。
競争を促す意図のない公表はあり得ない。
その競争がそのテストでの得点を求めることにつながり、
「過去問の演習」を中心とした、「テストの結果を求める指導」が公教育で行われていたりする現実がある。
今回大阪府が高校入試の選抜指標にする方針から、塾業界も当然「全国学力テスト対策」と、
銘打った指導を展開していくだろうし、
「公教育と塾業界」がタッグを組んでの「全国学力テスト対策指導」が行われていくのでは、と危惧する。
「全国学力テスト」の今後を占うにあたり、「大学入試センター試験」の廃止、
制度改革の動きと重ね合わせると将来的な廃止の方向が見えてくる。
運用規範の制度化、改革が繰り返されたのち、その弊害の前に廃止の方向になるように思う。
こと教育政策においても人類の持つ知恵の限界の前に歴史は繰り返されていくのであろう。

 報道で某アナウンサーの「学力テストの良い成績を求める教育熱心な親」というコメントを聞きながら、
「成績熱心と教育熱心は違うんだけどな」と思った。
親に限らず、「成績熱心な教育委員会」の存在を生んでしまうことにこの制度の怖さがある。

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この記事を書いた人
創明館 吉田

塾代表 吉田聡彦 : 練馬区高松(光が丘・夏の雲公園前)にある小学生・中学生・高校生向けのグループ/個人の学習塾を運営しています。
塾運営での想い、感じたこと、発信したいことなどを更新しています。

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