大学受験生なら誰もが知る過去問集「赤本」。
その歴史は大変古く、出版元「教学社」のHPによると出版歴は60余年にも及ぶ。
私もお世話になり、志望大学の過去問から感じた「大学のメッセージ」に大きなとまどい、困惑、刺激を受け、
それが「受験勉強」というものの本質を諭してくれたように振り返る。
その「赤本」の今年度版巻頭の、編者による「はしがき」に次のようにある。
『英語や国語の読解問題の課題文を通して、あることに興味を持ったり深く考えたりすることもある。
また、難しい数学の問題に自力で取り組んで、答の道筋がひらめいたときの感動は、何物にも代えがたい。
入試に合格できるように対策することが過去問演習の目的ではあるが、
じっくりと問題と格闘することを通して、身につくもの、得られるものも多いのではないだろうか。』
『受験勉強についても、ただ強いられるものと捉えずに、
自分自身が成長するきっかけと捉えて取り組んでほしい。』
受験勉強は確かに人を成長させる。
受験勉強を通して人は学力のみならず大切な事を身につけていく。
入試は「試練」とか「壁」とか、そういった表現はあたらない。
入試はチャンスでありチャレンジの対象である。
勝つとか負けるとかそんな言葉も似合わない。
合格と不合格、それだけの事実がもたらされるだけである。
この時期、黙々と鉛筆を動かす受験生を見ることが私は好きである。