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2016年5月号 | 創明館便り

記憶に残る幼いころのひとり遊びは「おもちゃ」と呼ばれるものではない。
家の中で遊ぶとき、たいがいその遊び道具は、
父親の大工道具であったり、母親の足こぎのミシンであったりして、
大人の使う道具を自分なりにあつかって何やら楽しんでいたように思う。
電池で動くおもちゃを買ってもらっても最初はうれしいがじきに飽きてしまって、
まったく見向きもしなくなったように思う。
今思うに、自分なりに遊べることが面白いのであって、
遊びの中に工夫ができるのが楽しいのであって、
お決まりの遊びしかできない遊びに興味がなくなるのも当然のような気もする。

 高学年になって、最も夢中になったのが「プラモデル」であった。
模型店に通いつめそのパッケージボックスの図柄にワクワクしつつ、
お金を貯めて手に入れた「プラモ」を手に、一目散に飛び込むのが自分の部屋であった。
誰にも邪魔されない環境で、パーツを広げるときのワクワク感は他には感じ得ないものだった。

 さてこのプラモデル、なかなか制作が難しいのである。
制作図面を見ても、完成写真を見てもわからない.
説明書への不満も手伝って、「もうこれ以上できない」と心の中で投げ出す自分。
そこで葛藤する。
貯金して貯めたお金で買ったプラモを未完成のままでは飾れないし、捨てることもできない。
作るしかない。そんなときに、ふと気づいたりする。
パーツの接着先の矢印の先端の位置の勘違いなど、だ。
なんだ、そういうことか。
「正しく見る」ことを学び、不満が一気に解け、今まで以上に夢中になって制作を続ける。

 この春、8年目に入った「ロボット教室」。
本部の理念と塾で子供たちを見て感じてきたこと、さらに自分の夢中になったプラモ体験から得たこと、
それらがフィットして始めた教室。

 教室の最も大切なことはと問われれば
「自分で成し遂げ、その達成感を味わい、そこから自己肯定観を得る」ということだろう。
「ロボットを完成させてその動きを楽しむ」ということは、
その制作の苦心の上にあってこそより深い楽しみが得られているのである。
夢中になって作っている子供たちの姿に自らの子供時代を投影し、感じ合わせつつ、教室現場にいる、
そんな自分である。

 

創明館便り
この記事を書いた人
創明館 吉田

塾代表 吉田聡彦 : 練馬区高松(光が丘・夏の雲公園前)にある小学生・中学生・高校生向けのグループ/個人の学習塾を運営しています。
塾運営での想い、感じたこと、発信したいことなどを更新しています。

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