2023年11月号 | 創明館便り

郷里の墓参をすると立ち寄りたくなる場所がある。
それは中学、高校時代といった、多感で、
あまたの刺激に心が反応する時代を過ごした、
自身が育った家があった所だ。
町並みは随分と変わってしまったが、
ちょっとした道が当時の自分を思い出させる。
歩いた道、チャリ通した道、バイクでフルスロットルした道。
そんな一つ一つの道に思い出がよみがえる。
 郷里を車で流して、塾の立派な校舎を目にすると、
こちらで目にするのと違った思いになる。
故郷で「○〇高校○〇名合格」なんて掲示を見ると、
残念な思いになる。
郷里は昔のままの姿であってほしいという勝手な思いだ。
「昔は良かった」という言葉を発したくはないが、
塾がマイナーな存在であった時代、
「塾」に通うことなく難関進学校の生徒になることは
ごくごく自然のことだった。
中学時代「アインシュタイン」「相対性理論」といった言葉を
教えてくれた友人がいた。
講談社のブルーバックスシリーズを
わけもわからず読むきっかけをも与えてくれた彼、
校内考査はいつでもトップだった。
塾とは無縁で、自分の興味のある勉強を楽しみ、
大人顔負けの趣味にはまっていた。
時に塾生から聞く「塾に通わないで成績抜群の生徒」の存在。
その存在を「すごい」と表現する今のような社会では全くなかった。
今の子供には想像し難い
「塾は大変まれな存在」であった時代があったのだ。
「勉強は学校と家でやる」それが当然の時代だった。
時代は変わる、社会は変わる、生活も勉強の仕方もやはり変わる。
存在否定されていた過去を持つかつての塾。
「社会悪」「武器商人」そんな言葉も聞かれた時もあった。
現下、公認の社会になっているとは言え、
果たしてその社会がいつまで続くのだろうか。
社会の変化が確実に「学びの内容」を変えてきている中、
「学びのスタイル」も確実に多様化、流動化の流れの中にあると思う。

創明館便り
この記事を書いた人
創明館 吉田

塾代表 吉田聡彦 : 練馬区高松(光が丘・夏の雲公園前)にある小学生・中学生・高校生向けのグループ/個人の学習塾を運営しています。
塾運営での想い、感じたこと、発信したいことなどを更新しています。

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