2011年12月号 | 創明館便り

中学生のとき最も自分に影響を与えた友人はといえば、F君だ。
彼は私の卒業した小学校とは異なる小学校から入学してきたので、
中学で彼の存在を最初に強く印象付けられたのは入学間もない最初の実力テストだった。
私の在学した愛知県の中学校では、
定期テスト、実力テストの上位成績者100名程を廊下に掲示するのが慣わしになっていた。
その最初の実力テストで彼の名前が第一位に記されていた。
クラスも部活も違っていたので、顔がわかる程度で、彼の詳しくを知ることはなかった。
そんなF君と2年生の時、同じクラスになった。
その時からF君との交流が始まった。
中学1年生から2年生にかけての思春期の入り口の男子といえば、
小学生の時と全く変わらない少年が少しずつ、青年の仲間に入りかけるころ。
そんな時、後に自分の趣味、関心を得るきっかけを彼は作ってくれた。

彼の家に遊びに行ったとき、まず私の目を引いたのが、
オープンリールの大きなSONYのテープレコーダーだった。
オーデイオ機器に興味を持っていた自分にとって、数十万円もする機器が置いてあるのに驚いた。
聞けば、彼のお父さんが電子機器のエンジニアとのことで、
機器のすごさだけでなく、彼が電子回路などといった勉強を独学でしていることを知り、
熱心に語る彼に、「この子は今まで自分の周りにいた友達と違う」という強い印象を持った。

そんな彼から私が知りえた、そしてまた自分自身興味を持ち、
自分の生活に大きく影響を与えたのが、
「サイモンとガーファンクル」というアメリカのシンガーと物理学者「アインシュタイン」との出会いであった。
彼はそのどちらにも大変詳しく、その影響で私自身「サイモンとガーファンクルのアルバムレコード」を聴きまくり、
歌いまくり、そしてまた「アインシュタインの相対性理論」に関する講談社のブルーバックスシリーズを
訳もわからず読んだりして、少しでも彼に近づこうとしていたように思う。

遊びの仲間、部活の仲間、といったいつも自分の周りにいた友人達と違う彼との交流は
思春期の私にとって大きなものであったと今にして深く思う。
F君と私は同じ高校に進学したが不思議と高校時代の交流はなかった。
やがてF君も東京の大学に進学し、大手電子機器メーカーに就職をしていった。
中学からのやりたかったことを彼は職業として実現したのだと思った。
私にとっての中学時代の良き出会いであった。「良き出会いを」と思う。

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この記事を書いた人
創明館 吉田

塾代表 吉田聡彦 : 練馬区高松(光が丘・夏の雲公園前)にある小学生・中学生・高校生向けのグループ/個人の学習塾を運営しています。
塾運営での想い、感じたこと、発信したいことなどを更新しています。

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