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2012年11月号 | 創明館便り

学力テスト、模擬テスト等で志望校の判定に用いられる「偏差値」とは何なのでしょうか。
各学校に「合格基準偏差値」なるものが示されていますがいったい何を示しているのでしょうか。
今回は「偏差値」の話をします。

次の表はあるグループ10人の50点満点(配点は各10点×5問出題)の英語・数学の点数の得点分布を示したものです。
平均点はともに30点です。
 英 語
   0点…0人 10点…0人 20点…3人 30点…5人 40点…1人 50点…1人(Aさん)
 数 学
   0点…1人 10点…1人 20点…0人 30点…4人 40点…3人 50点…1人(Bくん)
では、ここで考えてみてください。

問い Aさんは英語で唯一50点満点をとりました。B君は数学で唯一50点満点をとりました。
二人とも満点で平均より20点上回り、グループトップの成績です。
今、グループ全員が入学を志望する学校がグループの中から一人だけ、
「最も、英語又は数学の成績が優秀な生徒」の入学を認めるとします。さて、この学校が入学を認めるのはAさん、B君ではどちらだと思いますか?

ともにグループトップで平均を20点上回り満点をとりました。
順位・得点では優劣をつけることができません。
Aさんを支持するCさん、B君を支持するD君2人が次のような理由で支持をしたとします。

Cさん(Aさん支持の理由)
 「Aさんが満点とった英語では高得点の40点の人が1人しかいないのに、
B君の数学では3人もいるからAさんの満点の方が高く評価できる」

D君(B君支持の理由)
「B君が満点をとった数学は0点や10点をとった生徒もいて、最低点を50点上回ったのに、
Aさんは最低点を30点上回っただけだからB君を高く評価できる」。

さて、あなたはどちらを支持しますか?

このような時に優劣を判断する指標の一つとして「偏差値」が考えられます。

「偏差値」とは受験者全員の中での位置付けを示した値ですが、単に順位で判断するのではありません。
「偏差値」は「受験者全員の得点の分布をもとに、ある得点の優劣性を示す指標」になっています。

偏差値の考え方をこの例に当てはめてみますと
 英語は平均点に半数の人がいて、平均点を越えた生徒は2人しかいない中で唯一満点のAさん と
 数学は平均点を越えた生徒が4人いる中で唯一満点のB君との比較になります。
この2人の偏差値を計算しますと
   Aさんの英語の偏差値 72.3
    B君 の数学の偏差値 64.1  
となり、Aさんの偏差値がB君の偏差値を大きく上回ります。

偏差値は平均点をとると50という値がつきますが、
全受験者の得点の散らばりが大きい場合、偏差値は50との差がつきにくくなります。
つまり高得点を取っても偏差値は伸びにくく、低得点をとっても偏差値は下がりにくくなります。
B君の数学の偏差値がこのケースです。

逆に全受験者の得点の散らばりが小さいと偏差値は50との差がつきやすくなります。
多くの受験者が平均点近くをとった中で、高得点をとると偏差値は高くなります。
Aさんの英語の偏差値がこのケースです。

では、受験案内や模試成績票に出ている各高校・大学の合格基準偏差値とは何なのでしょうか?
各高校・大学の教員・生徒が問題を解いてその得点をもとに偏差値を出しているのではないことはわかると思いますが、
いったい誰の得点をもとに出しているのでしょうか?

各学校につけられている合格基準偏差値とは
基本的には「各模試団体の前年度受験生の合否結果」をもとに偏差値を示しています。
前年度の合格者の多くが合格している偏差値をもって、その学校の偏差値としています。
ですから、模試の実施団体によってもまた受験者の学力層によっても各高校・大学の偏差値は異なります。

このように、受験指導・合否予測において偏差値が大きな指標として用いられていますが、
偏差値が絶対的なものでないことは確かです。
所詮は昨年までの模試のデータからの予測であり、しかもその模試とて受験直前のものでもありません。
受験時の受験生の学力把握は入試でしか把握できません。

模試の成績がどうであれ、最終模試の判定がどうであれ、
「行きたいという強い気持ち」で着実な勉強をし続けるのです。
良い偏差値をつけるための勉強ではないはずです。
自分の生き方を実践するための勉強のはずです。
このことをしっかり頭に刻んで、偏差値に一喜一憂する姿勢から脱却してください。

創明館便り
この記事を書いた人
創明館 吉田

塾代表 吉田聡彦 : 練馬区高松(光が丘・夏の雲公園前)にある小学生・中学生・高校生向けのグループ/個人の学習塾を運営しています。
塾運営での想い、感じたこと、発信したいことなどを更新しています。

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