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2013年6月号 | 創明館便り

尾瀬の光景が好きな私は、毎年尾瀬を歩きます。
先日、残雪抱く山々に囲まれた尾瀬ヶ原を探勝してきました。
木道から見る、広大な湿原とその両袖の2座、至仏山、燧ケ岳。
時に前後に、時に左右に両山を仰ぎながら木道を歩いていると、
脳裡に焼きつく光景とはまさにこういう光景だ、と感じさせられます。

なぜ山歩きをするようになったのか。
自分が生涯最初に山に興味をもった瞬間を思い出させるできごとがありました。

私は愛知県の高校を卒業し上京しました。東京に出てくるというだけでも不安があったのですが、
さらに拍車をかけたのが大学生活の生活拠点でした。
入学した大学は全員が寮に入るという全寮制の大学でした。
寮の部屋は4人部屋で、4年生、3年生、2年生、1年生各1名という構成でした。
異郷の地で、先輩達しかいない部屋での居住生活。高校時代とは大きく異なる大学の講義と部活動。
そんな不安と緊張の1年生当初の私が、「ホッと」できた授業との出合い、先生との出会いがありました。
「代数・幾何(数学の領域の一つ)」を教えていただいた中村先生との出会いです。
中村先生の授業に「ホッと」できたのはなぜだったのでしょう。
1年生の時の大学の先生は「学生に理解させる」という意識が少ない先生がほとんどでした。
板書の意味を考える時間もあたえられず、必死にノートを取るしかない講義。
いったいだれにむかって話しているのかと思わせる、一変調子一方通行の講義。
そんな先生と学生がコミュニケートしない授業が主でした。
不安な生活をしている自分にさらに不安を感じさせる授業でした。

中村先生の授業は違いました。「学生たちに理解させる」という熱意をとても感じる授業でした。
ある時、中村先生はひとこと、「私は山が好きです」と授業の合間にポツリと話されました。
私の抱いていた「山男」のイメージと違った雰囲気の先生です。
意外に思いました。同時にやはり「どうして山が好きなんだろう」と興味を持ちました。
この興味を持った瞬間こそ、生涯最初に山に興味をもった瞬間です。
その興味がやがて自分自身が山歩きを好んでするようになったきっかけであったと思っています。
 そんな大きな大切な出会いであった中村先生の講議を35年ぶりに聴講することになりました。
まったくの偶然の計らいで、講演者名を見て「もしかしたら?」

と思いました。問い合わせたら、紛れもない「山に興味を持たせてくれた中村先生」でした。
数学検定協会主催の講演ですから、先生の著作である『数学の花束』に関連する講演になるのかと思います。
ですが私は「好きな山(山域)はどこですか?」とお尋ねしようと思っています。
ただ山の先達のことばとしてお聞きしたいのではありません。
先生への感謝と憧れがあればこその思いからお尋ねしたいのです。
「先生が好きな山を自分も感じてみたい」ということです。

創明館便り
この記事を書いた人
創明館 吉田

塾代表 吉田聡彦 : 練馬区高松(光が丘・夏の雲公園前)にある小学生・中学生・高校生向けのグループ/個人の学習塾を運営しています。
塾運営での想い、感じたこと、発信したいことなどを更新しています。

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