2022年10月号 | 創明館便り

「秋」になると本を読みたくなる。
何をするにも良いということで、
“〇〇の秋”という表現がいろいろとされる秋だけど
どちらかというとアクテイブ、
行動的な活動に適しているのかと思いがちであった。
でも、思うに確かに読書にも適している秋である。
 大学時代の友人が
「中断していた『徒然草(つれづれぐさ)』、また読み始めている。
ようやくそんな気分になった」
などとメールしてきた。
古典文学に触れようとする彼の思いには及ばない。
でも何か“本物”に触れたいという思いは湧く。
「本だから本物」などということではなくて、
「本物と偽物」の“本物”ということである。
数百年にわたって読み継がれる書物には確実に“本物”があるのだろう。
人々の生活の大きく移り変わってきた時代の中で、
変わらず残ってきた“本物”である。
動物に、身体として生存し続けるのに必要な本能として備えられた「食欲」。
それを満たすための口から日々取り入れる「体の栄養源」。
そういった肉体維持のための「体の栄養源」だけでなく、
人間には、目や耳から取り入れる「心の栄養源」も必要なようだ。
このように感じる事自体、
もしかしたら人間に備わった「本能」なのかもしれないと思ったりもする。
「心の栄養源」の大切な一つが「本」であって、
そこに“本物”を感じたいという思いが高まる季節が秋のような気がする。
そういえば、昨年同じ友人がこんな歌を紹介してくれていた。
『おしなべて ものを思わぬ ひとにさえ 心をつくる 秋の初風』(西行)

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この記事を書いた人
創明館 吉田

塾代表 吉田聡彦 : 練馬区高松(光が丘・夏の雲公園前)にある小学生・中学生・高校生向けのグループ/個人の学習塾を運営しています。
塾運営での想い、感じたこと、発信したいことなどを更新しています。

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